画面越しの交流に疲れてしまった。デジタル疲れを乗り越えた私の体験談
画面越しの交流、なんだか疲れませんか？
スマートフォンやパソコンが当たり前になり、遠く離れた家族や友人とも、まるでそばにいるかのように気軽に連絡を取り合えるようになりました。ビデオ通話で孫の顔を見たり、メッセージアプリで近況を伝えたりと、便利なことがたくさんあります。
しかし、一方で「なんだか疲れるな」「以前のようにはいかないな」と感じることはありませんか。画面越しの交流に、知らず知らずのうちに気疲れを感じている方もいらっしゃるかもしれません。
かくいう私も、まさにそうでした。便利さに感謝しつつも、どこかで重荷に感じていた時期がありました。今日は、そんな私がどのようにしてデジタルでの人付き合いとの心地よい距離を見つけたのか、私の体験談をお話ししたいと思います。
増えた画面越しの交流と、そこから生まれた疲れ
私が特に疲れを感じ始めたのは、退職して家にいる時間が増え、友人や以前の同僚、そして遠く離れた子供たちとの連絡が、ほとんどスマホの画面越しになった頃です。
最初は新鮮で楽しかったのですが、次第に「メッセージが来たらすぐに返信しなくてはいけない」という義務感や、「オンラインのグループチャットで話についていけないといけない」という焦りを感じるようになりました。ビデオ通話も、画面の中でずっと笑顔でいることに気疲れしたり、話の間が難しく感じたりすることがありました。
特に、文字だけのやり取りは、こちらの意図がうまく伝わらなかったり、相手の気持ちが読み取りにくかったりすることがあります。ささいなことで誤解が生じそうになり、気を使いすぎてどっと疲れてしまうこともありました。
以前は、会って話したり、たまに電話でゆっくり話したりすることで、気持ちが通じ合っていると感じられたのですが、画面越しの交流だけでは、どこか味気なさや、心の距離を感じてしまうこともありました。便利なはずのデジタルツールが、かえって人との間に壁を作ってしまったように感じ、寂しさや孤独感すら覚えることもあったのです。
「完璧にやらなくていいんだ」と気づくまで
このままではいけない、でもどうすれば良いのだろう、と悩む日々が続きました。スマホを見るのが億劫になり、通知が来るたびに心が重くなるような状態でした。
そんな時、ふと「なぜこんなに疲れるのだろう」と考えてみました。そして気づいたのは、「デジタルでの人付き合いを完璧にこなそうとしすぎている」ということでした。すべてのメッセージにすぐに反応し、すべてのオンラインの誘いに応じ、常に最新の情報についていこうとしていたのです。
本来、人との交流は心地よいものであるはずなのに、私はデジタルツールを使うことで、それを義務のように感じてしまっていたのです。
そこで、私は少し立ち止まり、デジタルとの付き合い方を見直してみることにしました。
私が実践した、心地よい距離を見つけるための小さなステップ
大それたことではありません。本当に小さな、誰にでもできるようなことから始めてみました。
まず、「通知が来ても、すぐに開かなくても良い」と自分に許可を出しました。スマホの通知をオフにすることも試しました。急ぎの連絡ではない限り、自分の手が空いた時や、心が落ち着いている時に返信することにしたのです。
次に、全てのグループチャットやオンラインイベントに無理に参加しないことにしました。興味があるもの、本当に参加したいものだけを選び、気が乗らない時は正直に「今回は見送ります」と伝える勇気を持ちました。最初は少し申し訳なく感じましたが、意外と周りの人は気にしない、ということが分かり、心が楽になりました。
そして、疲れた時は意識的にデジタルデバイスから離れる時間を作るようにしました。例えば、散歩に出かけたり、読書をしたり、庭の手入れをしたりと、画面を見ない時間を作ったのです。そうすることで、頭の中が整理され、気持ちがリフレッシュされるのを感じました。
時には、スマホでのメッセージではなく、あえて電話をかけてじっくり話したり、手紙を書いてみたりもしました。すると、文字だけでは伝わりにくかった温かさや気持ちが、より深く伝わるように感じました。
家族には、正直に「たまにスマホでのやり取りに疲れてしまうことがあるんだ」と話してみました。すると、子供たちも理解してくれて、連絡の頻度や方法について、一緒に考えるきっかけができました。自分の気持ちを伝えることは、関係性をより良くすることにも繋がるのだと学びました。
心が軽くなり、デジタルとの付き合い方が変わった
これらの小さなステップを続けていくうちに、私の心は次第に軽くなっていきました。デジタルでの人付き合いは、完璧を目指すものではなく、自分のペースで心地よく続けることが大切だと気づいたのです。
全てのメッセージにすぐに対応できなくても、たまには返信が遅れてしまっても、それで人間関係が壊れるわけではありません。大切なのは、相手を思いやる気持ちと、無理なく続けられる自分の状態を保つことです。
デジタルツールは、私たちを助けてくれる便利な道具です。その道具に使われて疲れてしまうのではなく、自分が主体的に、自分の心地よいように使うことで、豊かな人間関係を築くことができるのだと、身をもって体験しました。
これからのデジタルとの付き合い方
画面越しの交流に疲れてしまうのは、決してあなただけではありません。多くの人が同じような悩みを感じているはずです。
もし今、デジタルでの人付き合いに少しでも疲れを感じているのなら、一度立ち止まって、自分のペースを見直してみませんか。全ての通知に対応しなくても良い、返信は急がなくても良い、疲れたらデジタルから離れる時間を作る、といった小さなことから始めてみてください。
完璧を目指す必要はありません。あなたにとって一番心地よい、無理のない距離感を見つけることが大切です。デジタルツールと上手に付き合いながら、これからも人との温かい繋がりを大切にしていきましょう。あなたの心が、少しでも軽くなることを願っています。