いつもの集まりがオンラインに…参加をためらっていた私の体験談
定期的な集まりがオンラインに変わったとき
退職後、楽しみにしていた趣味の会や地域の集まりがありました。そこでの時間は、私にとって大切な社会とのつながりであり、心を満たしてくれるものでした。
しかし、ご存じの通り、状況の変化とともに、それらの集まりが次々と「オンライン」に移行していくことになったのです。
最初は「へえ、オンラインね」と他人事のように聞いていましたが、いざ自分の番になると、途端に不安が押し寄せてきました。
「私には無理だ」と決めつけていた理由
オンラインでの集まりと聞いて、まず頭に浮かんだのは「難しそう」という一言です。スマートフォンは持っていますが、主に電話や簡単なメッセージのやり取りに使う程度。画面も小さく、操作も時々おぼつかないことがあります。
「パソコンが必要なのでは?」「何か特別なアプリを入れないとダメ?」「もし途中で画面が固まったら?」「みんなに迷惑をかけたらどうしよう…」
考えれば考えるほど、不安は募るばかりです。特に、これまで顔見知りだった人たちと画面越しに話すというのが、どうにも想像できませんでした。うまく話せる自信もないし、表情がちゃんと伝わるのかも分からない。結局、「私には無理だ。参加は諦めよう」と、心の中で決めつけてしまいました。
諦めきれずに試した「小さな一歩」
そうは言っても、楽しかった集まりに参加できないのはやはり寂しいものです。話題についていけないだけでなく、何より人との関わりが減ってしまうことが、心にぽっかり穴が開いたような気持ちにさせました。
そんな時、集まりの世話役の方が「スマホからでも気軽に参加できますよ。操作が不安な方は、事前の接続テストもできます」と親切に声をかけてくださったのです。
その言葉に少し勇気をもらい、私は「まずは、どんなものか見てみよう」という、本当に小さな一歩を踏み出すことにしました。
事前の接続テストをお願いしたのですが、息子がちょうど来ていたので、隣で様子を見てもらうことにしました。指定されたURLをタップすると、見慣れない画面が出てきて一瞬戸惑いましたが、息子の「ここをタップすれば大丈夫だよ」という声に従って進んでいくと、あっという間に世話役の方の顔が画面に映し出されました。
「あ、つながった!」
その瞬間、なんとも言えない安堵感が広がりました。心配していたほど難しくないのかもしれない、と少しだけ希望が持てたのです。
実際に参加してみて感じたこと
そして迎えた、初めてのオンラインでの集まりの日。事前に接続テストを済ませていたおかげで、前回よりは落ち着いて参加できました。
最初は皆さんの顔を見ながら、ただ聞いているだけでしたが、画面越しでも皆さんの笑顔が見られて、声を聞けることがとても嬉しく感じました。少し慣れてくると、自分から簡単な挨拶をしてみたり、他の人の話に相槌を打ってみたりと、少しずつですが参加できるようになりました。
もちろん、操作に迷うこともありましたし、自分の声がうまく伝わっているか不安になることもありました。でも、皆さんもオンラインに慣れていない方が多く、お互い様といった雰囲気で、温かく見守ってくださっているのを感じました。
完璧にやらなくても良いんだ。ただそこにいるだけで、十分に繋がりを感じられるんだ。そう思えたとき、心の重荷がふっと軽くなった気がしました。
不安を乗り越えるための、自分なりのシンプルステップ
私の体験から、オンラインの集まりへの参加をためらっている方に、いくつかお伝えしたいシンプルなステップがあります。
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ステップ1:完璧を目指さないこと 最初からうまく話そう、操作を間違えないようにしよう、と思わないことです。まずは「どんな雰囲気かな?」と覗いてみるくらいの気持ちで大丈夫です。
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ステップ2:誰かに頼ること 家族や友人など、身近な人でデジタルが得意な方に、最初の接続や簡単な操作だけ手伝ってもらうのも良い方法です。一人で抱え込まないことが大切です。
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ステップ3:聞くだけでも十分 最初のうちは、マイクをミュートにして、他の人の話を聞いているだけでも十分に集まりの雰囲気を味わえます。無理に発言する必要はありません。
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ステップ4:小さな成功を喜ぶ 画面を開けた、声が聞こえた、顔が見えた。そんな小さな「できた」を自分自身で褒めてあげてください。その積み重ねが自信に繋がります。
デジタルは、繋がりを保つための道具
かつては「私には無理だ」と諦めかけていたオンラインでの集まりですが、今では無理のない範囲で参加できるようになりました。画面越しではありますが、皆さんの元気な顔を見たり、声を聞いたりできるのは、やはり嬉しいものです。
デジタルツールを使うこと自体が目的ではなく、それはこれまで大切にしてきた人との繋がりや、趣味を楽しむための「道具」にすぎません。その道具を少しだけ使えるようになったおかげで、失われかけた大切な時間を取り戻すことができました。
もし、あなたがオンラインでの集まりへの参加をためらっているなら、どうか「私には無理だ」と決めつけずに、まずは誰かに相談したり、簡単な接続だけでも試してみたりしてはいかがでしょうか。きっと、思っているよりハードルは高くないはずです。そして、たとえ小さな一歩でも、そこには新しい発見や、温かい繋がりが待っているかもしれません。