デジタル疲れ克服体験談

スマートフォンを開くのが億劫に。情報疲れを乗り越えた体験談

Tags: デジタル疲れ, 情報過多, スマートフォン, 情報整理, 体験談

スマートフォンを開くのが、いつしか億劫になっていました

日々の暮らしの中で、スマートフォンはすっかり欠かせないものになりました。天気予報を見たり、家族と連絡を取ったり、ちょっとした調べ物をしたりと、便利な道具であることは間違いありません。しかし、ある時期から、私はスマートフォンを開くこと自体に、少し億劫さを感じるようになっていました。

画面を開けば、次から次へと流れてくるニュースの見出し、友人からのメッセージ通知、ネットショッピングのおすすめ情報、果ては身に覚えのない広告まで、あらゆる情報が目に飛び込んできます。「これも見ておかないと」「これも知っておいた方が良いかも」と、ついつい時間を忘れて画面を見てしまい、気づけば何時間も経っていた、という日もありました。

最初は「世の中のことに詳しくなれる」「みんなと繋がっている」と感じていたのですが、だんだんと、情報の波に溺れているような息苦しさを感じるようになりました。特に、真偽の定かでない情報や、不安を煽るようなニュースを目にするたびに、心がざわつき、疲れてしまうのです。「自分は必要な情報を選び取れているのだろうか」「この情報についていけていないのではないか」という思いが募り、スマートフォンを見るたびに憂鬱な気持ちになっていきました。これが「情報疲れ」というものだと知ったのは、ずいぶん経ってからのことです。

情報の海でもがいていた日々

振り返れば、私は真面目すぎるほどに、入ってくる情報をすべて理解しよう、対応しようとしていたように思います。スマートフォンの通知音が鳴るたびにすぐに確認し、家族や友人からのメッセージにはできるだけ早く返信しようと努めました。ニュースアプリからはひっきりなしに速報が届き、SNSを見れば、知人たちの楽しそうな近況や、話題になっている出来事が流れてきます。

もちろん、それらの中から有益な情報や、心温まるやり取りもありました。しかし、それ以上に、自分には直接関係のない情報や、見てもどうすれば良いのか分からないことばかりが目に付き、だんだんと「ついていけない」と感じるようになったのです。

例えば、健康に関する記事を読めば、全く違う情報が書かれた別の記事が出てきたり、ある商品のレビューを調べれば、絶賛するものと酷評するものが両方あったりします。何が正しくて、何を信じれば良いのか分からなくなり、結局何も決められないまま時間だけが過ぎていく、ということも少なくありませんでした。

こうした状態が続くと、スマートフォンの画面を見るのが、楽しい時間から義務のように感じられるようになりました。通知の数を気にしてしまい、たまに見るのをやめようとしても、何かを見逃しているのではないかという不安に駆られるのです。体も心も、情報によって常にざわついているような感覚でした。

小さなことから始めた「情報の整理整頓」

このままではいけない、と感じた私は、少しずつですが、デジタルとの付き合い方を見直すことにしました。難しいことは何もできませんでしたが、私にもできる小さなことから始めてみたのです。

まず試したのは、スマートフォンの「通知」を整理することでした。本当に必要なものだけを残し、頻繁に通知が来るけれど今すぐ見る必要のないアプリは、通知をオフに設定してみました。最初は通知がないことに少し戸惑いましたが、すぐに慣れ、通知音が鳴るたびに気が散ることがなくなり、目の前のことに集中しやすくなりました。

次に、よく見るアプリやウェブサイトをいくつか厳選することにしました。ニュースは、信頼できると感じる特定のサイトだけを見るようにしたり、SNSは、本当に大切な人たちの投稿をたまに見る程度に頻度を減らしたりしました。すべての情報を見ようとするのではなく、「自分にとって本当に必要な情報は何か」を考え、それに関わるものだけを積極的に見るように意識を変えたのです。

また、スマートフォンを見る時間を意識的に減らすことも心がけました。例えば、食事中はテーブルの上に置かない、寝る前の一時間は触らない、といった簡単なルールを決めてみました。完璧に守れなくても良い、できる時にやろう、という軽い気持ちで取り組みました。

心穏やかなデジタル生活への第一歩

これらの小さな変化を重ねていくうちに、私の気持ちは少しずつ楽になっていきました。スマートフォンを開く時の億劫さが減り、必要な時に必要な情報だけを見れば良い、と思えるようになったのです。情報の波に翻弄されるのではなく、自分で情報を選び取っている、という感覚を持つことができるようになりました。

すべての情報に対応しようとしていた頃は、常に焦りや不安を感じていましたが、今は必要なことだけに目を向けることで、心穏やかに過ごせる時間が増えました。デジタルデバイスは、私を疲れさせるものではなく、暮らしを助けてくれる便利な道具なのだ、と改めて思えるようになったのです。

もちろん、今でも新しい情報や変化についていけないと感じることはあります。完璧な「情報の整理整頓」ができるわけでもありません。しかし、それで良いのだ、と自分に言い聞かせています。すべての情報を知る必要も、すべてのデジタルツールを使いこなす必要もないのです。自分にとって心地よい距離感で、必要な時に必要なだけ利用すれば良いのです。

もし、あなたもスマートフォンの情報に疲れてしまったと感じているなら、ぜひ小さなことから試してみてください。通知を一つオフにしてみる、特定のアプリを見る時間を決めてみる、信頼できる情報源を一つ見つけてみる。できることから、無理なく始めることが大切です。デジタル疲れを乗り越え、あなたにとって穏やかで心地よいデジタル生活を送るための一歩を踏み出せることを願っています。